転生したのに0レベル
〜チートがもらえなかったので、のんびり暮らします〜


386 おもちゃの三輪車はできたんだけど……



「まずはちっちゃいのを作ってみよ」

 最初っから僕が乗れるくらいのを作って、失敗しちゃったらやでしょ?

 だから最初は、おもちゃみたいな小っちゃいのを作ってみる事にしたんだ。

 それにね、そんなに小っちゃかったら一角ウサギからとれる米粒くらいの魔石でも動くもんね。


 ちっちゃくってても実験で作るんだから、本物を作る時とおんなじように作んないとダメだよね?

 って事で、最初は輪っかにつけるベアリング作り。

「前にお尻のいたくならない馬車、作っといてよかったなぁ」

 これは馬車の時に何個か作ったから、それの小っちゃい版を作るだけでしょ?

 だからそんなに苦労しなくっても、簡単にできちゃったんだ。

 と言う訳でそのベアリングを、クリエイト魔法で作った3個の木の輪っかにくっつけていく。

「これで輪っかは完成っと。後は3輪車の本体だよね」

 そう思った僕は、前の世界で見た三輪車がどんな形だったのかを思い出そうとしたんだ。

 でもね、

「う〜ん、あの形だと、ちょっと乗りにくいかも?」

 あれってスティナちゃんくらいちっちゃい子が乗って遊ぶものでしょ?

 だから僕くらいだと、ちょっと乗りにくそうなんだよね。

 って事で、車体がほんのちょっと長くなった感じの絵を、木の棒を使って地面に描いてみたんだ。

「うん。これだったら大丈夫かも」

 僕が描いた絵は、元の三輪車とおんなじようにお尻の下に後ろの輪っかがあるけど、その代わり前の輪っかをちょっと前の方に伸ばしてその両脇に足をのっける形にしたんだ。

 これだったら僕でも乗れるし、僕がもっとおっきくなっても足を曲げれば乗れるもんね。

「それじゃあ、これで作ってみよっと」

 形が決まったって事で車体作りだ。

 でも本物を作るのと違って、これは実験用のおもちゃだから前の輪っかやハンドルは動かなくってもいいでしょ?

 それにお尻をのっけるとこが硬くってもいいからって、三輪車全体がこういう形になるんだって頭に浮かべながらクリエイト魔法を使って木でできた車体を一気に作っちゃったんだ。

 後はこれにさっき作った輪っかをつければ、おもちゃの3輪車が完成だ。

「後は動かすための回転の魔道具をつけるだけなんだけど……」

 一応形はできたけど、まっすぐ走らなかったら困っちゃうでしょ?

 だからまずはお家の中で、このまんま走らせてみたんだよね。

 そしたらおもちゃの三輪車は、シャーって音を立てながらまっすぐ走ってったんだ。

「やった。ちゃんと走った!」

 それを見た僕は、嬉しくなって両手を上げながらその場でぴょんぴょん。

 でもこれ、まだ完成したわけじゃないんだよね。

 だから僕は走ってった三輪車のおもちゃを取りに行くと、それに回転の魔道回路図を書いて、米粒くらいのちっちゃな魔石をくっつけたんだ。


「さっきはお家ん中でやったけど、僕が乗るのはお外だもんね」

 お家ん中と違って、お外はデコボコしてるでしょ?

 だから魔道具として走らせるんだったら、やっぱりお外で実験しないとダメなんだよね。

 って事で、僕はさっそく3輪車のおもちゃを持ってお外へ。

「あ〜、ルディーンにいちゃだ!」

 そしたらさ、なんでか知らないけどスティナちゃんとヒルダ姉ちゃんがそこに居たんだよね。

「あら、ルディーン。どこかへ出かけるところだったの?」

「ううん、違うよ。これ作ったから、お外で走らせようって思ったんだ」

「よかった。もし出かけるところだったらどうしようかと思ったわ」

 ヒルダ姉ちゃんはね、ちょっと村の外に出かけるご用事ができたんだって。

 でも、スティナちゃんを村の外に連れてけないでしょ?

 だからお出かけしている間預かってもらおうって思って、僕んちに来たんだってさ。

「その変な馬車のおもちゃで遊ぶつもりだったのならちょうどいいわ。ルディーン、悪いけどちょっとの間スティナの相手をしてもらえないかしら?」

「スティナちゃんと? うん、いいよ」

「ありがとう、助かったわ」

 ヒルダ姉ちゃんは急いでたみたいで、そう言うとスティナちゃんに僕と遊んでてねって言うとそのまんま行っちゃったんだ。


「それじゃあ、スティナちゃん。これで遊ぼっか」

スティナちゃんと二人で三輪車のおもちゃを走らせることにしたんだけど、それを見たスティナちゃんは不思議そうな顔して聞いてきたんだよね。

「ルディーンにいちゃ、それなに?」

「これ? 三輪車って言う乗りもんだよ。今度ね、これの乗れるくらいおっきいのを作ろうと思ってるから、その前に小っちゃいのを作ったんだ」

「ふぅ〜ん、ちゃんりんちゃっていうのかぁ」

 三輪車って言う乗り物だよって教えてあげたんだけど、僕の手のひらよりちょっとおっきいくらいの大きさでしょ?

 だから名前は解ってみたいだけど、これがのりものなんだって事はよく解ってないみたいなんだ。

 でも実際にこれで遊んでれば解るよね? って思った僕は、とりあえず走らせてみる事にしたんだ。


 回転の魔道具についてる魔石に魔力を通して前の輪っかが回ったのを確認した僕は、三輪車のおもちゃを地面に置いたんだよ。

 そしたら三輪車のおもちゃは、さっきお家ん中で実験した時みたいにシャーって走ってったんだけど、

「あっ! ルディーンにいちゃ。ちゃんりんちゃ、ころんじゃった」

 途中にあるデコボコんとこでがたがた揺れたと思ったら、次のちょっと大きめのくぼみんとこで三輪車のおもちゃはひっくり返っちゃったんだ。

「早く走りすぎたのかなぁ?」

 この三輪車のおもちゃ、実験だからって前の輪っかを回転の魔道具にしただけだったでしょ?

 だから思ったよりずっと早く走ってったんだよね。

 でもさ、輪っかが四つついてる馬車だって、すっごく早く走ったらころんじゃう事があるって言ってたもん。

 だからきっとこの三輪車も、早く走りすぎたからこんな風にひっくり返っちゃったんだって思うんだよね。

「スティナちゃん、ちょっと待っててね。今度は転がんないようにするから」

「うん!」

 って事で、回転の魔道具に抵抗の回路図を追加して再挑戦。

 さっきよりかなりゆっくり走りだした三輪車のおもちゃは、さっきがたがた揺れだしたデコボコんとこやおっきなくぼみんとこは無事に通過したんだよ。

 でも、

「あ〜あ、またころんじゃったね。ルディーンにいちゃ」

 今度はちょっとおっきめの石にぶつかって、三輪車のおもちゃはこてんって倒れちゃったんだ。

 でね、それを見たスティナちゃんはちょっとしょんぼりしちゃったんだけど、僕はそれどころじゃなかったんだよね。

「そっか! ブレーキが無いとダメじゃないか!」

 これが馬車だったら、引っ張ってるお馬さんが止まってくれれば一緒に止まるよね?

 でもこの三輪車の場合、回転の魔道具を止めても走ったまんまだもん。

 だからブレーキをつけとかないと、目の前に急に何かが出てきたり下り坂を走ってる時なんかだと止まれなくって、さっきのおもちゃみたいにど〜んってぶつかっちゃたりするかも。

「でも、ブレーキってどうやって作ったらいいんだろう?」

 どうやって走らせたらいいのかは考えてたけど、どうやって止まったらいいかなんて全然考えてなかったんだよね。

 転がっちゃった三輪車のおもちゃを走って拾いに行くスティナちゃんを見ながら、僕はどうしたらいいんだろうって考えこむことになっちゃったんだ。



 ルディーン君はブレーキの存在を忘れていましたが、これはこの世界の乗り物である馬車がにブレーキが無いからです。

 なにせ馬車は固定した馬が歩けば進むし、止まれば馬車も一緒に止まりますからね。

 だからルディーン君は馬車の代わりに三輪車を動かす動力としても魔道具に回転の魔道具を使う事は考え付いたけど、止まる時にもブレーキがいるなんて思いつかなかったと言う訳です。


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